
菅谷 至寛 教授
[専門分野]
知能情報工学、並列分散処理
▼解決をめざす「社会課題」
現在の屋内ナビゲーションアプリは、特別な機器の設置や事前準備が必要で、施設管理者が提供する場所でしか利用できません。また現状の屋内のデジタル地図データは、限られた場所にしか存在していません。私たちはこうした「屋内でナビゲーション機能を利用できる場所が限られている」という課題に着目し、スマートフォンのカメラで撮影した案内板を画像認識AIで解析してスマートフォン内のセンサだけで動作する、屋内ナビゲーション技術の研究・開発に取り組んでいます。さらに、地図解析の技術を活用して観光案内マップと実地図との対応を図り、イラスト化されたマップ上に現在地を表示するシステムの開発もすすめています。今や観光立国となった日本において、観光案内マップは地図アプリと同様に便利な情報源です。こうしたアナログな情報源とデジタル技術を融合させることで、新たな利便性を生み出すことをめざしています。
この研究の根底には「情報格差と移動のアクセシビリティの不足」という社会課題があります。方向音痴の人や地図を読むのが苦手な人、また測位インフラを利用できない場所では、移動に不便を感じるケースが少なくありません。研究をすすめるなかで、まだ多くの人々が日常的な移動に関する不安や制限を抱えているという現実にも気づかされました。私たちの技術は、既存のアナログマップをその場でデジタル化して解析し、瞬時にナビゲーション機能として提供するため、特別なインフラの設置や事前準備が不要です。個人のスマートフォンで完結するので導入のハードルが低いこともメリットの一つとして挙げられます。この研究は、技術と社会課題の接点を見出し、実際の課題解決につなげる方法論も含んでいます。簡単かつ低コストで実用的なソリューションとして提供できれば、移動における利便性の向上、情報格差の解消につながります。
羽賀 大輝さん
知能情報メディア課程 2024年卒業
先端理工学研究科 修士課程 先端理工学専攻 知能情報メディアコース 1年生
(京都市立西京高等学校 出身)
VRやARの技術躍進がもたらす新しい社会を見据え、視覚情報処理とユーザー体験の向上をめざしています。学部時代から取り組んできた制作技術を活かし、現在は「VR内蔵視線計測器の較正と視機能検査の同時実施法」について発展的な研究を行っています。研究では、人の目の構造や視覚情報処理に関する新たな知識を深めながら、VR環境での実験に挑戦しました。指導教員との密なコミュニケーションを心がけ、プログラミング技術と研究手法を磨いています。より快適なバーチャル体験の実現に向けて、視覚情報処理の研究をさらに深めていきたいと思います。