- 教員氏名
- 佐野 彰(さの あきら) 助教
- 学位
- 博士(情報科学)
- 学歴
- 北陸先端大・院・情報科学
- 専門分野
- 数理脳科学、実験認知科学
- 研究課題(長期)
- 脳の情報統合と内的意味付けの問題
- 研究課題(短期)
- 階層的な統計学習に基づく感覚統合モデル
自律ロボットによる人工認知実験
ヒトの脳と身体は、それをとりまく環境と相互作用しながら世界の意味や価値を構築し、同時にそれらを自分自身の内部に取り込んでいきます。これは、自分自身を変化させるという生命そのものがもつしくみです。私たちは、 計算機によるシミュレーション実験や自律ロボットを用いた人工認知実験を通して、我々がもつヒト認知の在り方を考えています。
ヒトの知的な活動は、記憶・欲求・予測といった要素が密接に絡み合うことによって実現されています。我々は、不確定で複雑な環境下に身を晒すことで、脳を取り巻く多感覚な環境情報を構造化(記憶)します。そして、生物がもつ原初的な欲求を駆動力とし、全ての一瞬において次の瞬間を構築する(予測)ことで行動や思考と呼ばれる活動を生み出しています。私たちは、このような多感覚な記憶構造と予測に基づいた人工認知システムの構築を行っています。
また、ヒト認知を生み出す神経システムは、近年の脳科学を待つまでもなく極めて複雑な様相をもっています。しかし、ヒト認知に発達過程が不可欠であることからも、これらの複雑さは環境の複雑さの投影であるともいえます。ある人工物が「認知」システムとしての説得力をもつためには、ある一定以上の複雑さをもち、そしてその行動様式が我々自身が理解可能でなければなりません。
私たちは、説得力のある認知システムを具体的に構築するために、ヒト型ロボットを身体として、複雑な実環境下で発達可能な認知システムの構築を進めています。