


河内 岳大 教授
[専門分野]
高分子合成、機能性高分子、分子集積化材料
▼解決をめざす「社会課題」

私たちの暮らしは、プラスチックをはじめ、さまざまな高分子材料に支えられています。しかし従来の設計指針では、高温や湿度、振動に耐えうる静的かつ閉鎖的な構造を採用するのが一般的です。その結果、合成や廃棄に大きなエネルギーを要し、それが環境負荷の一因となってきました。これに対して、生物の組織はまったく異なる優れた設計指針をもっています。分子が自ら集まる自己組織化によって複雑な階層構造をつくり、環境に応じて動的に成長・補強する高性能な設計を実現しています。私たちの研究室では、この生命組織の設計指針をモチーフに、新しい機能をもつ材料の創出に取り組んでいます。例えば、光や熱といった環境に応答するスマートゲルや、使用後に簡単に分解できる高耐熱性バイオマス樹脂など、分子をデザインして精密に組み立てることで、未来に役立つ「かしこい高分子材料」の開発をめざしています。
化学を追究する醍醐味は、化学反応を駆使して目には見えない分子の世界をデザインし、世の中にない新しい物質を生み出す創造性にあります。精密な合成技術を活用して小さな分子を思い通りにつなぎ、その形や集まり方まで自在にデザインできれば、強くて長持ちするだけでなく、環境負荷ゼロの材料を創出できるかもしれません。私たちが生み出す材料が「持続可能な社会の実現」に貢献できる未来が来ると信じています。人類が直面する社会課題は多領域にわたり、互いに影響し合う相互依存的関係をなします。この極めて複雑な社会問題を解決に導くには、科学・技術の視点に加え、社会システムの視点を含む統合的なアプローチが不可欠です。だからこそ学生のみなさんには、研究活動をとおして物事の本質をとらえる「科学的思考力」を養い、社会を多面的かつ俯瞰的に見る視野を身につけてほしいと考えています。
渡邊 琉気さん
応用化学課程2025年卒業
先端理工学研究科 修士課程
先端理工学専攻 応用化学コース 1年生
(滋賀県立八日市高等学校 出身)
私の研究テーマは、生体を構成するペプチドに着目し、それをもとに医療に役立つ新しい材料を開発することです。分子レベルで構造を設計し、ナノサイズの材料を生み出すことで、診断や治療への応用が期待されています。所属する富﨑研究室では、農学部との共同研究が精力的に行われていて、学部を超えた多様な視点から学べます。試行錯誤を重ね、目に見えない世界を自分の手で形にしていく研究には、大きなやりがいと感動があります。この学びを活かし、化学の力で人々の健康と未来に貢献したいと考えています。