
宮武 智弘 教授
[専門分野]
有機化学、超分子化学
化学は、社会の支えとなる多種多様な材料を生み出せる学問領域です。「化学基礎実験」の授業では、環境保全も含めた社会課題の解決を見据えながら、人々の暮らしに役立つ化学物質を創造するために必要な知識と技術を、実践的に身につけます。
目まぐるしく変化する社会において、新しい化学物質が担っている役割は多大です。社会に役立つモノやサービスを生み出すためには、自然エネルギーの利用や軽くて強い材料など脱炭素に適した材料、省資源で化学物質を合成する方法の開発など、環境保全を考慮しながら技術革新に対応できる材料の技術が欠かせません。それらを生み出す基盤となるのが、化学という学問です。応用化学課程では、産業・社会・地球環境への影響も視野に入れて有益な化学物質を生み出せる人を育成しています。
「化学基礎実験」では、試料の化学分析に関する多様な実験を行うことで、実験器具や薬品の取り扱い方など、化学を学ぶうえで必要な知識と技術を修得します。加えて、実験結果を整理して報告書を作成することを通じて、思考力や文章作成能力、コミュニケーション能力も磨きます。この授業を通じて学生は、化学実験のおもしろさ・素晴らしさを体感しながら、自分で主体的に実験ができるようになるでしょう。化学の専門的な見地から社会貢献を行うための素養が、しっかりと身につくはずです。
化学を学ぶことで、みなさんには、社会に役立つ材料を生み出す創造力とともに、社会課題を解決する力も養ってほしいと考えています。私たちの暮らしに横たわる諸問題を解決するには、課題の発見、解決方法の提案、そのアイデアを検証するための調査と分析、適切なアウトプットが不可欠です。そのような課題解決のプロセスを実践的に修得できるのが、応用化学課程です。化学基礎実験をはじめとする科目を学修することで、自身に足りない知識や技能の獲得はもちろん、自ら思考を深め、アイデアを言葉で表現できるように成長していただきたいと考えています。
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嶋津 翔太さん
理工学部 物質化学科 2022年卒業
理工学研究科 物質化学専攻 修士課程 2年生
(滋賀県 近江高等学校 出身)
Al2O3や ZrO2などの金属酸化物は、優れた耐熱性や硬度をもっています。この特性を活かした研究は社会に役立つと確信し、大柳研究室のもと研究を行っています。ZrO2を焼結(焼き固め)してセラミックスをつくった際は、最適な温度条件を探るのに苦労を要したものの、最終的に成功し、大きな達成感を得られました。諦めずに挑戦し続けるなかで、研究者に必要な忍耐強さ、失敗の原因と向き合う姿勢が身につきました。学部時代に比べ、周囲とのチームワークを意識しながら研究に取り組めるようになった点にも、自分の成長を感じます。