


木村 昌弘 教授
[専門分野]
知能情報学、情報数理学
▼解決をめざす「社会課題」

情報通信技術の飛躍的な進歩、ソーシャルメディアの普及により、人々の行動や感情を含む多種多様な情報が、デジタルデータとしてWeb空間に蓄積され続けています。これらは社会の鏡であり、貧困や格差による社会的分断、偽情報の拡散といった深刻な社会課題の兆候も映し出されています。しかし、データはあまりに膨大で複雑で、そのままでは解決の糸口を見出せません。こうした社会課題に対し、私たちは「複雑ネットワーク科学」と「統計的機械学習論」を活用し、この情報の海から有益な知識を抽出する技術の研究を進めています。サイバー空間(Web)とフィジカル空間(現実)を融合した視点から、人々のつながりや情報の広がり方を数理モデル化し、社会で今何が起きているのか、そのメカニズムを科学的に解明することで、複雑化する社会課題に対する有効かつ効率的な解決手法を構築します。
具体的な取り組みとして、Web上の注目度(アテンション)の推移や位置情報を分析し、観光地での人の流れや社会動向を予測する研究を行っています。研究テーマは、ソーシャルメディアにおける高次ネットワーク進化やオンラインアイテム群の協調構造、アテンションダイナミクスに着目した地理的影響ネットワークの分析、情報拡散など、多岐にわたります。データマイニング技術の高度化は、各種異常の検知や将来予測を可能にし、政策立案や都市計画など実社会の課題解決に直結します。学生たちは、まず関連文献の調査を行い、自ら問いを立て独自の研究テーマを設定します。正解のない問いに対して粘り強く仮説と検証を繰り返すプロセスは、研究者としての基礎体力を養います。データを武器に社会の真実を見極め、強い目的意識をもって未来を切り拓く人材へ成長してくれることを期待しています。
嶋田 朱音さん
電子情報通信課程 4年生
(大阪府 追手門学院高等学校 出身)
計測の自動化技術の一環として、機械学習が脚光を浴びています。一例として、生命科学の分野で確証を得るには、膨大なデータ収集と抽出が不可欠であり、人手に頼ると時間的な制約が生まれます。機械が瞬時に判断し、自動でデータを蓄積・解析できれば、大幅に負担が軽減できます。私たちの研究室では、リアルタイム画像処理技術を用いて、がん細胞を自動で識別するシステム開発に取り組んでいます。プログラム開発は試行錯誤の連続でしたが、エラー要因の分析を通じて粘り強さと対処能力を身につけました。