- 教員氏名
- 藤原 和将(ふじわら かずまさ) 准教授
- 学位
- 博士(理学)
- 学歴
- 早稲田大・院・先進理工学
- 専門分野
- 偏微分方程式
- 研究課題(長期)
- 絶対値冪乗型の非線型項を伴う偏微分方程式に対する爆発解析
- 研究課題(短期)
- 1次元半線型消散型波動方程式の爆発会の分類
シュレディンガー方程式や消散型波動方程式,半波動方程式といった物理学に由来する分散型方程式の非線型初期値問題に対して, 初期状態の形状が及ぼす解への影響を研究しています.
分散型方程式の解の挙動(形状)は概して, 波束を分散させる分散効果と波束を集約させる自己相互作用から複合的に決定されます. 特に解の挙動を精確に捉える為には, 自己相互作用が及ぼす解への影響を把握する事が肝要となります. 自己相互作用の様子は, 初期状態の形状によって変化します. そして自己相互作用による増幅が分散効果を圧倒する場合, 解は自己崩壊(爆発)する事が知られています.特に解の自己崩壊の典型例は,初期状態が属する関数空間から解が時間発展に伴って逸脱する事で,解に関連する量が無限大に発散する形で観測されます.
こういった解の自己崩壊現象(爆発現象)は数学的に興味が持たれている対象です.解の爆発現象は常に起こるわけではありませんが,爆発現象が起こりやすい自己相互作用をあえて考える事で,解の自己崩壊現象の構造を調べる事ができます.そういった強い相互作用を与える例として,絶対値冪乗型の非線型項に表される自己相互作用があります.この自己相互作用は位相 (フェーズ) の効果を伴わない為, 解を一方的に増大させる効果があるので,爆発現象を誘発しやすい自己相互作用です.この自己相互作用を伴う爆発現象を調べる方法には,方程式を不変に保つ尺度変換に由来する伸縮構造に着目した方法や,空間について定数となる解が満たす時間変数に関する常微分方程式を用いる方法があります.しかし,これらいずれの方法においても,解のある種の積分量の有界性のみが議論の対象であり,議論を適用する為に初期状態にある種の符号条件を課す必要があります.
私の研究では,絶対値冪乗型の非線型項に表される自己相互作用を伴う分散型方程式の解の挙動を,初期状態が符号条件を満たさない場合に検討しています.初期状態が解の符号条件を満たさない場合,方程式の分散効果と自己相互作用の均衡はより複雑で,方程式の主要部から来る影響がより色濃くなります.従って,爆発解析においても方程式の個々の性質に踏み込んだ解析が必要となります.私の研究では,空間に関して定数となる解が満たす常微分方程式の解の挙動を基本として,解の振動が与える解の挙動への影響に着目して,解の爆発解析を行っています.