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Faculty of Advanced Science and Technology

先端理工学部

無線電力伝送を用いた高速充電の実現世界で注目の研究分野「ワイヤレス給電」にチャレンジ

電波の電力活用には夢と可能性がある

今、スマホをはじめ多くの機器がインターネットと繋がっていて、これをもとに無線で電力を送る研究開発が世界中で進んでいます。私は、その研究者の一人である吉田賢史先生(電子情報通信課程)の研究室に所属しています。近い未来には道路を走りながらEV車に充電ができるなど、電波の活用に夢と可能性を感じたことがプロジェクトリサーチ活動のきっかけです。
プロジェクトリサーチは今後の研究活動の第一歩にしたかったので、まずは吉田先生にテーマを相談。「整流器」という無線電力伝送装置に搭載されるデバイスの効率化に向けた調査を提案いただき、研究室の友人と二人で活動を開始しました。

想定外の失敗も想定内。豆電球の点灯に感動

多くの電気・電子機器は直流電力で動作します。電波は周波数や波長を持つ交流のエネルギーなので、電力として使用するには、直流のエネルギーに変換しなければなりません。例えばスマートフォンを充電する際に用いるACアダプターなども同じ原理で動き、発電所から送られてくる60Hz(もしくは50Hz)の周波数を持つ交流を直流に変換し、端末の充電などを行っています。今回は無線電力伝送に用いるための整流器を作製しました。
私たちはエネルギーへの変換効率が高くなるように整流器の電子回路を50種類以上設計し、PCでシミュレーションを行いました。そして、結果が良かったパターンの基板を作製し、信号発生器を用いて変換効率を計測しました。しかし、電子回路を構成する素子がショートするなど想定外のことが発生。また、周波数は0.1単位で測定したのですが、一つの条件ごとに結果が出るまで2時間近くかかる上、途中で不具合が生じることもあり、回路と測定条件の見直しを何度も繰り返し行いました。
試行錯誤の末に、高効率の電子回路をようやく見つけ出し、所望の結果を得られた時は費やした時間と労力が報われた気持ちでいっぱいになりました。

トライ&エラーを繰り返し「結果」を求めていく

プロジェクトリサーチの活動を経て無線電力伝送に至った結果を吉田先生が評価してくださり、国内最大級のマイクロ波技術・マイクロ波産業に関するイベント「MWE (Microwave Workshops&Exhibition)2023」で今回の取り組みをプレゼンテーションする機会をいただきました。
本取り組みを通じて実感したのは、研究やモノづくりには失敗がつきものということです。実験は99.9%うまくいかず、残りの数%が世に出回っている成果ともいわれています。失敗した時はショックですが、原因の仮説立案や解明をしなければ前に進むことはできません。プロジェクトリサーチは結果だけでなくプロセスも評価対象ですが、実際の研究では結果が重視されます。これから卒業研究に取り組み、その後は大学院に進学して研究を続けていく予定です。この経験で得た経験を土台にして、地道な作業と考察を積み重ねていき、さらなる結果を出せるように努力していきたいと思っています。


プロフィール 山木 健弘

山木 健弘

先端理工学部 電子情報通信課程

福井・県立武生東高等学校出身

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