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Faculty of Advanced Science and Technology

先端理工学部

プロジェクトリサーチのプロセスで学んだ社会性

研究室で受け継がれている実験・調査に挑戦

私がプロジェクトリサーチでおこなったのは、所属する研究室の山本伸一教授(電子情報通信課程)の専門領域である「分子エレクトロニクスデバイス」に関する基礎研究です。薄く、軽く、折り曲げもできる液晶ディスプレイをさらに進化させるためにはどうすればいいか、分子レベルで探ることがテーマです。初めて挑む本格的な実験・調査でしたが、山本研究室の先輩が2022年のプロジェクトリサーチでおこなった実験・調査を私たち後輩7人が引き継ぐ形だったので、先輩たちからアドバイスが得られ、スムーズに進めることができました。

液晶という物質とナノの世界の面白さ

液晶ディスプレイは、液体と結晶の間のような性質を持つ液晶をガラス板の間に封入し、両面に偏光板を貼り付けた液晶セルという部材が使われています。この液晶セルに電圧をかけると中の液晶分子の並び方が変化。バックライトの光を通したり遮断したりすることで画像や文字が表示される仕組みです。ただ、薄型化や軽量化に向けては板を重ねる液晶セルの構造が課題です。そこで、液晶の中に電気を通す金属粉末を混入することで、偏光板なしでも光を制御できるかを調査。7人各自が異なる金属粉末を混ぜた液晶セルを製作し、実験に取り組みました。私はモリブデンという金属とアルミニウムの2種の酸化化合物を使用。液晶に混ぜる量や電圧の強さといった条件を微妙に変えて、液晶分子状態を光学顕微鏡で観察したり、光の透過率を分析したりしました。細かく、根気のいるタスクが続きましたが、目には見えない分子の世界に近づくことがとても面白く没頭しました。

失敗で気づいた「ほうれんそう」の重要性

私は7人の役割分担で会計を担当。実験・調査に必要な経費を管理していたことから、自主的に金属粉末の購入をしようと考えていたところ、山本先生から「事前相談と許可が必要」と指導をいただきました。大切な研究費を預かることの認識や、与えられた役割に対する責任、社会や組織で必要とされる「ほうれんそう(報告・連絡・相談)」の重要性を実感しました。卒業後は、企画や営業職、クリエイティブな業務といった、課程の専攻で学ぶこととは異なる領域にチャレンジしたいと考えているので、社会に出て企業で働く上で求められる要素を学べたことはとても大きかったです。また、このプロジェクトリサーチで実験・調査を進めるにあたって仮説を立てたり、結果を分析したりしたことで、想像力や考察力、継続力を養うこともできました。このことはきっと将来に役立つものであると思っています。


プロフィール 田中 瑞貴

田中 瑞貴

先端理工学部 電子情報通信課程

大阪・府立北千里高等学校出身

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