プロジェクトリサーチが始まる前から、私たち4人のメンバーは、内田欣吾教授(応用化学課程)の研究室への所属が決まっていました。内田先生は、光に応答するフォトクロミック分子の結晶を用いて、生物を模した人工的な機能材料を作り上げるバイオミメティックス(生物模倣)について研究されています。私たちは生物を真似して新たな機能材料を開発する点に惹かれ、卒業研究のテーマにもすることから、プロジェクトリサーチでは、その第一歩として、ジアリールエテンという化合物の結晶のフォトクロミック反応に起因する現象について研究することにしました。
フォトクロミック反応とは、光照射によって分子量の変化を伴わず分子内で化学結合の組み換えが起こり、構造と色が変化する反応のことです。私たちは新たに混合したジアリールエテン化合物の結晶を作成し、その結晶に紫外線を当てるとどのような変化、現象が起きるのか調査。紫外線を照射すると結晶が割れる、着色する、移動するといった反応があるのではとメンバーで仮説を立てて、実験をおこなったところ、結晶が弾け飛ぶという想定外の現象が起こり、驚きました。